ただただ想いを伝えたい

10/18
前へ
/18ページ
次へ
 慌てて、飛び起きた。こんなに寝坊したのは久し振り。私は、いつも寝起きがいい。すっと起きる事ができるのに。やっぱ、きのう手紙を書いていたせい?まあ、こんな事考える前に、学校へ行く準備しなくちゃ…。  朝食を食べてる時も、歯を磨いてる時も、服を着替えてる時も、トイレに行ってる時も、私はずっと、ずっと、昨日かいた手紙のことばかり考えていた。  いつ、どこで、どんな風に渡すのが一番いいのだろう。私は、朝の忙しい時間にまぎれて、ひたすらこんな事ばかり考えていた。朝の支度が終わり、家を出る時もまだ考えていた。歩いてる時も、まるで手紙が生き物みたいに私の体中を何回も往復しては、循環する。迷路みたいに、ひたすら出口をさがしてる。でも絶対に渡すんだ!結果はどうでもいい。自分の気持ちを伝えるだけで充分。何て私は健気なの。自分がまるで少女マンガの主人公になったみたいに、乙女チックになってしまうなんて。本当に、恋って不思議。  あ、でもちょっとまって!もう一人の自分がこの少女漫画的思考に歯止めをかけた。 「よー、よー、由利ちゃんよ。少女マンガの主人公気取りだけどよー。相手の気持ちはかんがえないでええんか?手紙をもらった辻谷くんは、どう思うかちっとは考えてみんか。もし、全く由利ちゃんに興味ゼロやったらどうすんねん!あんた、めちゃおちこむでぇ。     
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加