ただただ想いを伝えたい

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 自分で自分の事がまるで理解できない。家にいる時は普通なのに。学校という場所がわたしを緊張させる。たくさんの人を見てるだけで息がつまりそうになる。  学校は、気の合う人より苦手な人が多い。人はみんなそれぞれ個性があって違って当たり前なのに、学校という所はなかなかそれを受け入れてくれそうにない。  人と違う個性よりも、みんなと同じ協調性を大切にする。だから私みたいな人は、結局学校にいきたくなくなる。  でもこんな私でもなんとか学校に通えてるのは、あの人に会えるからという淡い恋心で支えられているからかもしれない。  辻谷くん。フルネームは辻谷基。つじたにもとい。これが私の好きな人。残念ながら片思いである。相手はわたしの事をどう思っているか全く分からない。ただのクラスメイトだし。 辻谷くんの事が気になり始めたのはたぶんあの居残りの時から…ほんの些細な出来事だった。  美術の時間に描ききれなくなった課題をしてて居残りしていた時のこと。まだ新学期もまもない頃で、私は、こんな性格だから友達も作りそびれてひとり寂しく桜の木を描いていた。周りを見るとみんな喋りながら楽しそうに絵を描いている。どこどこのケーキが美味しいとか、テレビの○○が××だとかくだらない話ばかりだけど。別に私は独りでもいいんだけどネ…     
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