ただただ想いを伝えたい

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 あ。やば。もう下校時刻だ。なんか居残りした割には、あんまり進まなかったな。まあでも今日は私が生きてきた十六年間の中で一番嬉しい日だからよしとしよう。こんな私でも話しかけてくれる人がいて、しかもその人は好きな人だったら誰でも嬉しいよね♪ よーしなんか、気分がよくなってきたぞ。明日からの学校が楽しみだな。  ううう?ん、何か昨日あんまし眠れなかったな。まるで遠足が楽しみな小学生みたいだ。今日は、自分から話し掛けられるといいな。たった一言でも。  ああ、もうすぐあの角を曲がると、校門に辿り着く。どきどき、学校へ行くのがこんなに楽しみなんて、いつ以来だろう?  気が付くと私は教室に入っていた。いつもと同じ、窓側の前から3番目。ここに辿り着くまで、いつもの私なら適当に挨拶して席に座る。でも今日の私はうつむきかげん。声が震えて挨拶すらできなかった。  タダアナタガイルダケデ。  ダメじゃン、私。いつもよりもっとだめじゃん。  辻谷君も不思議そうな顔してたじゃん。  やばい、まじでやばい。意識しすぎている。私は、極度に緊張したせいで、いつもよりガチガチだ。授業中だけでなく、普段の生活迄も緊張感漂っている。普通にしなきゃ、がんばれ私! 意識すると喋れない、でも意識してしまう。人前どころか、好きな人の前では何十倍、いや何百倍も緊張してしまう。今日も辻谷くんとは、一言どころか顔をまともに見る事もできなかった。  また、偶然話し掛けてくれないかな…     
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