ただただ想いを伝えたい

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ああ、首が痛い。もっと空を見てたいけど、もう限界。それにしても、こんなきれいな星空を見ていると、私はどんどん詩人になってしまいそう。そう恋する乙女は詩人なのだ。今日は、どんな恥ずかしい、感情を抱いていても許す。だって、空は本当に美しいんだもの。そろそろお家へかえろう。このテンションのまま、さっきのラブレターを書いてしまおう。今なら、恥ずかしがらずに気持ちを伝えられそうな気がする。今夜は、長い夜になりそう。  さて、さっきの続き、書かなくては!私は、再び手紙を机に広げた。やっぱり、あの言葉しかない。さっき、星空をみて確信した。自分の中の素直な気持ちを只伝えたくて…  辻谷くんへ 突然、こんな手紙をもらってきっとびっくりしてるかもしれないけど、私の気持ちを聞いて下さい。 私は、あなたが大好きです。 もう忘れてるかもしれないけど。私の絵を褒めてくれてありがとう。すごく、すごく、嬉しかった。 完成したら、必ず見せるね。 追伸 私はただ想いを伝えたかっただけで、辻谷君が誰を想っていても構いません。(悲しいけど。) でも、学校でまた話し掛けてくれたら嬉しい。何か今、この手紙を読んで、ぽかんとしている辻谷君が浮かびます。 ではさようなら。               水本由利  私は名前を書き終えた後、この手紙にそっとキスをした。密やかな、乙女のおまじない。(とどっかの雑誌に書いてあった。) 「うわー、遅刻、遅刻。もう七時過ぎてるっ!!!!」     
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