プロローグ

1/4
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/65ページ

プロローグ

「人生とは選択の連続だ」  誰の言葉なのかはわからない。けれど、実に真理を捉えたいい言葉だと思う。  そして、真理の耳触りの良い部分だけを選び取った胸糞な言葉だとも思う。  確かに人生は選択の連続で構成されている。進路なんかはわかりやすい例だろう。どこの学校に行くのか、何を学ぶのか、どこに就職するのか。  人生というものはそう言った様々な地点での選択によって作られている。  けれど、それはあまりにも綺麗すぎる。  だから俺に言わせて貰えばこうだ。  ‘人生とは失敗と後悔の連続だ’  こちらの方が正しいのではないかと俺は考えている。  人間は幾度となく選択を繰り返し、その度に「この選択よりも良い選択があったのではないか」「どうしてあの選択をしてしまったのか」と考えてしまう。  それは人間が幸せを求める生き物である以上は必然的なものだ。    そして、選択を悔いている以上、それが何度となくある以上、人間の選択は必ず失敗に終わるものであり、後悔を伴うものである。  そう。人間という生き物は、過去を悔やみながら生きるものだ。     
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!