第2幕:いなくなれ、群青

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 もう、この街が知るアイツは居ない。  俺は自分がどうするべきだったのかと、まるでそれを問うかのように向かいの家を睨めつけた。願わくば、アイツがひょっこりと姿を現してくれるようにと、叶いもしない望みを胸に、すがるようにしいたけ婆ちゃんの家を見た。   ______________  アイツに初めて会った翌日、俺はアイツと2度目の対面を果たした。  思いがけない遭遇だった。  その日、俺はラジオ体操当番で、朝早くに眠い目をこすりながら会館へと向かった。  いつものようにラジオをセッティングし、やってきたご近所さんやちびっ子達と向かい合う形でラジオ体操をこなし、最後に皆のラジオ体操カードにスタンプを押すためにインクとかハンコとか道具を広げた。 「お願いしまーす」  そう言いながら次々にやってくるちびっ子達のカードに無心でハンコを押し続けていると、「お、お願いします」と控えめな声でカードが3枚差し出された。 「はいはーい」と俺は雑に返事して、スタンプを押してカードを返したとき、俺はようやく誰のカードにハンコを押したのか理解した。 「あ、昨日の」     
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