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その問いに「嫌」と一言で答え、俺は再びスタンプを押す作業に戻った。
彼女と三度目の遭遇を果たしたのは、このわずか10分後、家の前でのことだった。
「「あ」」
間抜けな顔をしながら声をこぼしたのはそっくりな顔をした二人の男の子だった。二人は年齢に差があるようには見えないし、たぶん双子なのだろうと思った。
「…あ」
俺は二人にかけられた言葉を反復して見せた。それに深い意味はなかったけれど、明らかな嫌悪の色を顔に浮かべてこちらを指差す小学生男子にちょっとばかり腹がたったからかけられた言葉をそのまま返してやろうと思った。
「あってなんだよ!」
「そうだぞ!あってなんだよ!何があっなんだよ!」
二人が立て続けに強い口調で怒鳴ってきた。声変わり前だからか、それは怒鳴っていると言う印象よりもただ大きな声で話していると言う印象の方が強い。
よく見ると、二人の容姿には若干の違いがあった。先に声を放った男の子の方が、背が低く若干つり目でキツイ印象を受ける。もう一方は目元は普通だったけれど、眉毛が薄くて目の下に薄くクマがあった。
「お前達こそあってなんだよ。俺は珍しい動物か何かかよ」
「うるさい!なんでお前こんなところいるんだよ!」
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