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「こら!そんな事と言ったらダメですよ」
少し濁ったような高い声が聞こえてきた。
「「でも!」」
二人が振り返って庭の一角にある小屋を見た。
あの場所は、しいたけ婆ちゃんがキノコを作っている場所で、それを販売している直売所でもある。
俺も二人に習ってそっちに視線を送った。
「でもじゃありません!」
そう言いながら出てきたのはあの少女で、彼女はこちらを見て小さく頭を下げた。
思わず俺も小さく頭を下げてしまった。
「これから少しの間とはいえ、お向かいさんになるんですからそんな失礼な態度をとるのはダメです。二人ともいい子だからわかるよね?」
言い聞かせるようにそう言うと、男の子二人は納得していないというような様子ではあったものの、「はい」と一応の返事をした。なんというか、実に姉らしい姉なのだなと思った。
「あの…二人が失礼しました」
「いや、大丈夫だ……大丈夫ですよ」
相手が敬語だったから自分もそうするべきなのだろうと思い、俺は慌てて語調を訂正した。すると、そんな俺の様子を見て、少女は「ふふふ」と、手の甲で口元を隠して可笑しそうに小さく笑った。
「大丈夫ですよ。敬語じゃなくても。きっと同じような歳でしょう?」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
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