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「お前らな。そんなことばかり言ってたら姉ちゃんに怒られるぞ」
「うるさい!お前が姉ちゃんを姉ちゃんって呼ぶな!」
「そうだぞ!気持ち悪いぞ!」
二人揃って騒ぎながら指をさしてくる。
「そんなこと言ったって仕方ないだろ」
俺は彼女の名前を知らないんだ。その言葉を言おうとした時、「二人とも!」と後ろに並んでいた彼女が少し怒った口調で言った。
「どうしていつもそんなに酷いことばかり」
彼女がそう言うと、和志と彰人は逃げていった。
「あぁこれ。彰人のスタンプカード」
「ありがとうございます。いつもいつもすいません。あの子たち、失礼なことばかり言って」
「いやいや。大丈夫だよ。俺はあまり気にしてない」
「二人にはきつく言っておきますね。私もスタンプお願いします」
そう言いながら、彼女はスタンプカードを二枚差し出してきた。
「あれ、二枚?」
「はい。今日はお婆ちゃんがいますので」
彼女がずらした視線の先を見ると、しいたけ婆ちゃんがいた。俺は小さく頭をさげる。
「この間は婆ちゃん来てなかったよね」
確認するように聞くと、彼女は若干目を伏せて「最近、あまり体調が良くないんです」と言った。聞いてはいけないことを聞いてしまったのだと後悔した。
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