プロローグ

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 隣で、彼女は今日も涙を流す。  夏場の明るい夜空をさらに明るく照らし上げる光の花。  その灯に涙を隠しながら、彼女は今日も肩を震わせる。  なぁ。あの時、俺はどんな選択をするべきだった?何を望んで何を選べば、俺は今みたいに綺麗な記憶に苦しめられることなく生きることができたんだ?  その答えは誰も知らない。もし知り得る奴がいるのだとしたら、それは神様なんていう信用ならないものしかいないだろう。  苦しい。あぁ。苦しい。  苦しくて苦しくてたまらない。  本当に、文字通り息が詰まりそうだ。  涙を流して肩を震わせる彼女の手を、今度こそ俺は  俺は…
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