第3幕:スターティングオーヴァー

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 和志の言葉を聞き、俺とけーちゃんが互いに「「えっ」」と声を漏らしながら互いの顔を見た。日差しのせいなのか彼女はほんのりと顔を赤くしていて、その様子があまりにも艶めかしいものだから俺は思わず顔が熱くなるのを感じた。  夏というものは本当に厄介な季節だなとしみじみ実感した。 _______  結局、三人に朝食を食べていけと言われ、俺はそれに甘えることにした。 「じゃあ作ってきますから待っていてくださいね」  そう言って微笑んだ後に踵を返して家の中に入っていったけーちゃんの背中を見ていると、和志がニヤニヤしながら「何エロい顔してんだよ」と言ってきた。そんな和志に同調するように、彰人が「ねーちゃんはあげねぇからな」と言ってきた。俺は二人の頭にゲンコツを落とした。  その後三人でキャッチボールをしていると学校の制服を着た一輝がやってきた。 「そんなとこで何してんの?」  しいたけ婆ちゃんの家の庭でキャッチボールをする俺を見て、一輝は興味なさそうに聞いた。興味がないなら聞くなよと思うかもしれないが、こいつは昔からこういうやつだった。だから俺は特に気にならない。 「見てわかるだろ。キャッチボールしてんだよ」 「まー見てわかるわな」  鼻で笑いながら一輝は学校指定のカバンからプリントの束を取り出し、それを俺に差し出してきた。 「これは?」 「みればわかるだろ」  してやったぞみたいな顔で一輝が不敵に笑った。     
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