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「それで…あの‥…」
けーちゃんは口元で両手を指の腹だけ軽く合わせ、恥ずかしいのだとでも言うように聞いてきた。
「花火は…ありますか?」
「けーちゃんは花火が好きなのか?」
「はい。花火は…好きなんです」
花火は好きなんですと、彼女は2度繰り返した。
「じゃあやっぱり皆で行こう。出店で食べ物買って、河原で花火を見よう」
三人は快諾してくれた。俺はそのことが嬉しかった。土曜日が待ちきれなくて、毎日毎日まともに寝れやしなかった。
後になって気がついたが、一輝が持ってきた祭りの運営の資料を見ると、神社での祭りの開催日は花火が上がる方の大きな夏祭りの翌日の事だった。
もちろん、神社の夏祭りの開催まで1週間もないということで翌日から毎日学校に行き、神社の夏祭りの主催者との打ち合わせをしなければならなくなった。
_____
「あぁ。やっぱりしらのは来てないのか」
「まぁな。あいつあんなんでも巫女達のリーダーらしいからな。ちょっと前までバスケ部のキャプテンだったのによくやるよ」
「あいつは昔からそうだったよ」
木曜日。学校の会議室で祭りの主催を待ちながら、俺と一輝は昔話に花を咲かせた。
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