0人が本棚に入れています
本棚に追加
今日の脳内には正論を吐く僕、ダラダラする僕、暴れる僕、三角座りで一点を見つめる僕、奇声を出している僕、瞑想する僕がいる。
ああ、働き盛りの僕がいない。呼び戻さなければ。
インターホンを押して、僕が僕を呼ぶ。
働き盛りの僕は目を擦りながら奥の方から歩いてくる。
さすがに疲れているか。でもごめん、今日も君を頼ることになる。
小さい僕たちが僕に文句を言う。
そんなに文句を言うなら、君たちが働いてくれれば僕は楽なのに。
僕自身をコントロールするのも大変だというのに、他人をコントロールしなければならない上司は大変だ。
少しだけ溜息をつくと、僕は目を覚ました。
頭の中で午後からのタスクを整理する。
これもやらなければ、あれもやらなければ、と移ろう僕を一旦落ち着かせるためには必要な作業だ。
脳内で整理した作業を指先、キーボードを通して、画面上に吐き出す。
こうしないと、頭の中に文字が渦巻き、作業にならなくなってしまう。
今にも吐き出したいが、まだ10分残っている。
もう少し後に整理すればよかった。
話題はいつの間にかまた明るい話に移った。
今日は随分と情緒不安定な空間だ。
高速道路で鹿に遭遇したことがあるかないか。
こんな些細な事で楽しい空気になるのに、人間はマイナスのことを話したくなるのだろう。
やはり、悲しみを分かち合いたいからだろうか。
楽しいことが二倍になるのであれば、楽しいことを膨張させて脳内を埋めた方がいいのでは、と思う。
ただ、そんなに楽しいことも起きないよなあ、とジレンマに陥る。
子供がいる先輩方を見ると、大変そう、という気持ちが強い。
子供や奥さんと話している時間は実は幸せなのだろうけども、その分失うものが多そうに見える。
そういえば、彼女がいない、というだけであった肩書が知らないうちに、独身に変わっていた。
グラデーションのように変わればいいのに、0から1へ随分と極端だ。
学生から社会人に急には変われない、と学生のような言い訳を社会人の僕が呟く。
後ろ向きな僕と自意識過剰な僕には大人になってほしい。
もっと年を取ったら恐らく君たちは僕の中からいなくなる。
君たちには長らくお世話になった。でも、君たちがいる限り人生を損していると思う。
それならばできるだけ早くいなくなってほしいというのが、僕の願いだ。
そう考えれば考えるほど、君たちは僕に強くしがみつく。
最初のコメントを投稿しよう!