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遊園地にすら行ったことがない。僕の経験値の低さも、話題に使える時はある。 偏見や自身のイメージのみで会話が作れる場合には問題がない。 待ち時間が長い。絶叫系のマシンでは目を瞑ってしまう。 どこかで聞き覚えのある遊園地あるあるを並べる。 百聞は一見に如かずというが、一度その場に行く、というのは何見、何聞に如かずなのだろう。 家族と一緒に行くだけでなく、夫婦で行くという上司。 髪が薄くなりだした頭に何か付けたりするのだろうか。非日常を満喫するのだろうか。 遊園地で楽しんだ後、帰り道でぐったりしている姿を想像した。 温泉もそうだが、癒しのために行くのに、疲れて帰って来る時があるのはなぜなのだろうか。 真ん中から包装を解いていく。 考えてみると、小学生くらいの頃からずっとこの形状だ。 上から剥がし、後ろまで糸を引っ張る。 その後、端を摘んで、海苔が破れないように、力を調整する。 ご飯を海苔で取り囲み、馴染ませる。 誰が決めた訳でもないのに、取り出した通り、三角形の頂点を口に入れる。 今日選んだのは山わさびだ。 大きく口を開けておいてよかった。具になんとか到達し、つん、と鼻を刺激する。 しかし、僕が小さい頃に比べて、コンビニの食べ物は随分と小さくなったものだと思う。 具体的にどれだけの大きさだったかは今となっては覚えていないが。 大きさは変わっても包装は変わらない。 おにぎりの大きさを変える時、包装を行う機械を調整し直しているのだろうか。 不意に昔のことを思い出す。 そういえば、旅行に行くときに、たまにコンビニで買い物し、車内で食べていた。 ちょっとした非日常を感じていたものだったが、今となっては普通の行動になりつつある。 僕からすれば、非日常なんてそれくらいの簡単なもので十分だった。 やはり経験を積めば積むほど、真新しいことが減っていくのだろうと思う。 そう考えると僕は伸びしろが十分あるじゃないか、と、サッカー選手のようにポジティブ思考が働いた。
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