ダイダイ色の街

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「昨日ね、生まれて初めて気持ち良いキスが出来た。ありがとう…」 「じゃあ最後にもう一度しても良い?それとも来世で知り合うまでのお土産にとっておこうか?」 「来世でもするけど、今もして。」 夕暮れの台北松山空港日本人の男女は車中でキスをする。お互いを見つめて微笑み合いながら優しく優しく淡くて甘い…愛にはならない恋より熱い。 「私一人旅がしてみたいの…一泊二日で構わないから…」 台風を掻い潜りもう肌寒くなった羽田空港を後にして、愛梨は台北行きのチャイナエアラインに乗っている。…夫に一人旅の打診をしたのは3ヶ月前だった。土曜日の朝に家を出て日曜の深夜までには帰る約束を小学校三年生の一人娘にして…。 「でも一人旅ってママ何処いきたいの?」 「台北だよ…この前行ってみそびれた所に行きたいの。」「じゃあ市来君にも会うの?」 家族3人で台湾の台北に旅行したのは約一年前だ。2泊3日の家族での初海外旅行。HOTELのプールやジブリのモデルになった九?、観光夜市の市林、101タワー。家族で安心して楽しめる場所を選んで2泊3日安全に楽しんだ。夫の友人である市来君がガイドと運転手をしてくれたので愛梨達家族は凄く快適な旅が出来た…市来君は台北在住でフリーライターをしている。無論中国語も話せるので家族旅行は鬼に金棒で過ごせたのである。 家族旅行中のもしもの時用にグループラインを作った…(愛梨、夫、市来君)…。 愛梨の夫は真面目で金銭面も生活もしっかりしている。その時の感覚を優先させて生きて来た愛梨とはかなり真逆な人物…だから二人は夫婦になったと愛梨は感じていたしそれで丁度良かった。足して2で割れば良いのだから。
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