ダイダイ色の街

「市来君にお礼の連絡した？」
台湾旅行から帰った翌日夫がコーヒーとパイナップルケーキをほぉばっている横で愛梨は真顔で話しかけた。
「してないよ…なんで？」…あ…又だ…。愛梨は心の中で溜息をついた。色々キッチリ常識人ぶってるのになんだかお礼とか、感謝とか、心の礼儀みたいな所が抜けている…こうしてくれたら喜ぶみたいな事を予測して行動におこさない…勿論裏をかいてここでしっかりお礼しなきゃポイント失うぞ！なんて姑息な考えもないのだろう。夫の無関心な顔を確かめて愛梨はスマホを取り出した。何となく…いや既に意識していたのかもしれないが、グループラインの市来君を一人の友達にして…市来君と自分の二人だけのトークルームを作ってメッセージを送った。
（昨日夜日本につきました。無事に日本に帰ってきましたよ！帰りの飛行機は乱気流で凄く揺れて怖かったけど…楽しく台湾を過ごす事が出来てとても満足しています。市来君のおかげです！娘も市来君に又会いたいって…親切で優しい市来君にメロメロみたいです。本当にありがとうございました。私も台湾大好きになりました。又近いうちに遊びに行けたら良いなぁ…本当にありがとうございました。）

眠い目を擦って娘は既に学校に出掛けていた…小学生になると流石に家族旅行で学校を休ませるのは良く無いので3連休で旅行に行ったのだが帰宅が12時前で流石に３年生には厳しかったのかも知れない。ゴメン…少し愛梨は反省した。
私って…なかなかお母さんに　な　れ　な　い。