ダイダイ色の街

（イラストありがとうございました。編集さんも愛梨さんの絵良い！って気にいってました。台湾の温かい雰囲気が出てて、可愛い絵だって…これから直接仕事依頼する事も考えているみたいですよ。俺もイラストミマシタ！黄色？オレンジ？の柔らかい龍山寺が一番印象的でした。）
やばい…市来君とのラインのネタが無くなっちゃう…
雑誌の編集部に気に入られて喜ぶ事よりも、愛梨は何とかして市来君と繋がっていたかった。
恋愛感情と言ってしまうには少し淡い気がするけど…ただ市来君にラインをして帰ってくる…
それだけで気持ちが陽だまりみたいに暖まる
心地よさと適度なドキドキが無くなっちゃうのはとてもとても困る…。
とりあえず友達が台湾に行くからおすすめのバーや、デートスポットを教えて欲しいとか…時には自分と娘の近況を添えて市来君のプライベートを探ってみたり…のらりくらりと愛梨は市来君にメッセージをなげてみた。
律儀に市来君は返してくれた…
（今度実家に帰るからその時に先輩と飲む約束しましたよー。）台湾旅行から９ヶ月経った時市来君からラインがあった。
なんで…私が市来君に会えないのに旦那が会えるのよ?よく考えなくてもかなり理不尽な愛梨の怒りはMAXになったが、それを誰にどうしてぶつけるか見あたらずとりあえず、ずっと辞めていたタバコを吸った。たちまち愛梨の口の中や髪、指先はタバコ臭くなった…昔付き合った男の吸っていたハイライトを選んだ。ぼんやりとその男を思い出した。首筋や背中に優しくキスして愛梨をロマンチックな気分にしてくれてたハイライト男。
今思い出すと素敵な思い出を提供してくれたのだと思ったら…何だか切なくなった。でもなんで別れたんだっけ？あ…浮気されたんだ。
…やっぱり別れるのはそれなりのガッカリな余談がある。甘い切ない想い出だけの恋なんて今までしていない事に気がついた。大人だから？いやいや…違う。自分の未来や生活、そんな愛や恋だけでは無い所にも粘着したら綺麗な恋愛なんて存在しない。自分に都合が良い未来の為のステップだから。
これって恋愛？自宅の裏の公園で２本目のタバコをくわえながら愛梨はただ市来君が恋しい自分を認めた。