歪な愛の結末

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 その度に僕は彼女に惹かれていき、想いは膨らんでいった。  次第に想いは抑えることができなくなり、初めて彼女と出会った時から3度目の冬が来た頃、僕は彼女に声をかけた。 「おはようございます」  そんな単純な挨拶だった。  普通、よくすれ違うだけの人間にいきなり声をかけられたら、少なからず恐怖を感じるのだろうが、彼女はそんな様子は少しも見せず、僕に挨拶を返してくれた。 「おはようございます」  彼女が放った言葉は、僕と全く同じものだった。  当たり前か。ただ挨拶をしただけなのだから。  僕はこの時、初めて彼女の声を聞いた。  とても、綺麗な声だった。  女性らしく高い声。それでいて、しっかりと芯の通った声。  端的に言うのであれば、“凛”という言葉がぴったりと当てはまる声だった。  この日から、毎朝挨拶を交わすのが日課となった。 「おはようございます」 「はい。おはようございます」  はじめはこの程度だった二人の会話は、何度も繰り返す中でほんの僅かにだが変化していった。  夏の日の朝は「今日も暑いですね」と僕が言い、「そうですね」と彼女が返してくれる。  冬の日の朝は「今日も寒いですね」と僕が言い、「そうですね」と彼女が返してくれる。  僕と彼女の距離は縮まっていった。     
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