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きっと、長い輪廻では人生はこういうものだ。
神様からプレゼントを貰った。
貰ったものは船。そして、それを進めるためのオール。
どちらも泥でできていた。
神様は言った。「終わりを目指せ」と言った。
神様からのプレゼントはそのための道具だった。
だから僕は必死でオールを漕いだ。
正しい行き先も目指すべき方角も教えてもらえなかったが、僕はそれでも進み続けた。
どれだけ進んでも終わりなど見つからない。
どれだけ進んでも陸地は見えない。
水に触れた船底はしだいに崩れ出し、オールも少しずつだが水に溶けて形を失っていった。
僕は最終的にどんな岸辺に辿り着くのだろうか。
そんなものは分かるはずもない。
きっと、これは普通のことなのだろう。
自らの進むべき道があらかじめ分かりきっている人間などいないのだろう。
僕は進み続けた。
船は既に沈み始め、オールなどとうの昔に消え去った。
どれだけ進もうと陸地は見えなかった。
何処を見渡しても陸地は見えなかった。
もちろん不安になることもあった。
むしろ、不安を感じない時間など無かった。
それでも僕は止まらなかった。
神様に「終わりを目指せ」と言われたから。
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