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そして、「気にする必要は無いよ」と言った。
「私は終わりを“目指しなさい”とは言いました。ですが、終わりにたどり着けとは言っていません。あなたはしっかりと終わりを目指しました。岸辺を目指し続けました。それだけでもう目的は達成されているのです。大切なのは岸辺を目指し続けることであり、陸地に辿り着くことではありません。」
神様はそう言った。
そう言って、僕を褒めてくれた。
「よく最後まで終わりを目指し続けましたね」と言いながら、僕にプレゼントをくれた。
神様からのプレゼントは寂れたテレビだった。
「今までのあなたを振り返りましょう。それが終わったら、あなたには次のプレゼントを渡します」
神様は微笑みながらテレビの電源を入れた。そして、それを足元に置いた。
テレビには様々な映像が次々と映し出されたが、映像のほとんどにはモヤがかかっていた。
音はザラついたノイズに邪魔をされ、全体的にうまく聞き取れなかった。
でも、僕にはこのテレビが、この走馬灯のように目まぐるしく切り替わる映像が何なのか理解することができた。
これは僕の人生だ。
僕が必死になって進み続けた物語だ。
僕は最後まで映像を見続けた。
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