終焉のC

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この世界は、ネジがところどころ抜けてしまったオモチャのように、不安定な状態を保っている。温かい家。優しい両親。自分だけの部屋に、ふかふかのベッド。毎日着ているボクの学生服。そして――…使い慣れた狙撃銃。 いつからだったか、義務教育で銃の扱い方を覚えるようになったのは。 今年十三歳になったボク、空良野 青(そらの あお)は中学に上がると同時に『ナイトキッズ』になった。 ナイトキッズとは、国の防衛機関の一つで十三歳以上十八歳未満の少年少女で構成された『国家ジュニア武装兵団』に所属する子供達のことを指す。ボクは、小学校時代の狙撃の成績が認められて、この機関にスナイパーとして所属するようになった。 今から六年前、ボクがまだ小学二年生だったときのことだ。世界に、"敵"が現れた。 正体不明のソレは『カゲ』と呼ばれていて、黒い影を纏ったカラクリ人形のような姿をしている。カゲは、僕らの世界には存在しない魔法のような術を使い、人々を襲った。まさに殺戮兵器そのものだった。日影となる場所からだったらどこにでも現れるカゲは、日常に潜む危険な敵なのだ。 ーーそう、ボクらは、このカゲという敵と戦っている。
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