終焉のC

4/10
前へ
/10ページ
次へ
「……ああ、今日も来ちゃったんだ」 ボクはがっくりと肩を落とす。バスタブの中で、ちょっと目を瞑っていただけだったのに、そのままうたた寝してしまったんだろう。ここは、いつも見る夢の中だ。 「うたた寝でも、この夢見ちゃうんだ……」 一面真っ白なこの空間に、今日はボク一人しかいないらしい。 「あの二人は、まだ来てないのかな……」 この夢には、登場人物がいた。黒い髪の男の子と、白い髪の女の子だ。二人は魔法のような力を使い、互いに戦い続けている。毎日毎日、飽きることなく戦い続ける二人を、ボクは少し離れた場所で傍観しているだけだった。 ちなみに、この夢の登場人物はこの二人だけで、ボクは存在していないらしい。二人はお互いしか見えていなくて、ボクのことは見えないようだったから、そういう夢なんだなあとくらいに思っていた。 しかし、今日はいつもとはちょっと違っていた。だって、この空間にはその二人がいない。ボク一人だ。 「……寝る時間が早かったからかな? それとも、寝てる場所がお風呂だから?」 首をかしげながらも、ボクは「そろそろ起きないと風邪引いちゃう」とため息をついた。目を覚ましたくても、自分の意志では目を覚ますこともできない。 「んー、んんーー…」 どうやって時間つぶそうかと考えていると、ガチャンと後方から音がした。振り向くと、空間に四角い光の枠が出来ていて、ぎょっと驚いていたら、今度はその枠がドアのようにして開いた。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加