ひみつの、ろじうらの

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 食堂らしきところに通されたかと思うと、私以外に6人ほどの女性がすでに何かを口にしていた。  見た目はレバ刺しのようにも見えるけれど、それを何もつけずに彼女たちは口に運んでいた。  私も座るようにと促されたが、ふと一番奥の暖炉の前のテーブルに飾られたそれが目にとまった。  腹を裂かれた妊婦の四肢が、だらりとテーブルの角から垂れいる。中身は空っぽで、赤ん坊のかたちはなかった。  見覚えのあるような顔だったけれど、いまいち思い出せなかった。  席につくと、私の目の前にも彼女たちが無言夢中で口に運ぶそれと同じものが置かれた。
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