ひみつの、ろじうらの

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ひみつの、ろじうらの

“この裏路地を行けば分かるよ”  「そう、言われた通りに行けばいいよ」と、艶々した表情で先輩は言っていた。  先輩の言う通り、馬繋ぎ石のある角を右に曲がれば、こっくりこっくりと船をこいでいるお婆ちゃんがちんまりと小さく盛られた土の上に座っていた。  「お孫さんはどうされたんですか?」と訊ねれば、「うちの孫は一昨年インフルエンザ脳症であっさりと逝っちまったよお」と、返答に対して妙に間延びした声で返事が返ってくる。  「じゃあ、私“たち”はどこにいけばいい?」  「この裏路地をいけば分かるよ」  そう言うと、お婆ちゃんひょいと土の上から軽々と飛び降りた。  すると不思議なことにさっきまでは全然見えなかった薄暗い道がすっと伸びていた。
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