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ユウヒは私の弟だから。
許してあげなきゃ。
「母さん、カレー早く作ろ?」
母さんの手を引っ張って繋いだ手をゆらゆら振りながら、台所まで行く。
「そんなに急がなくても大丈夫よ」
「うん」
「ヒヨリ、ちゃんと謝れて偉かったね」
「うん、」
謝ったよ。
ゲームも今日は我慢する。お手伝いだってするよ。
「……私、お姉ちゃんだからね」
自分で言ってて、心臓がぎゅっとしたけど、でも、母さんは偉いねって。
お姉ちゃんでいる私を褒めてくれる。
褒めてくれるから、私はお姉ちゃんでいる。
いつも、母さんが「お姉ちゃんなんだから」って言う度に、喉が苦しくなって、涙が出そうになるけれど、拳を握りしめて我慢してきた。だってお姉ちゃんだから仕方がない。
さいしょはぐー、じゃんけん、ぽん……
私は悪くない。
けれど、悪くなくったって、たった一言で私は負けちゃう。
「お姉ちゃんなんだから」
ぽん
まるで、あとだし じゃんけん。
先に生まれた時から、私に勝ち目なんて、無い。
さいしょはぐー
じゃんけん ぽん…………ぽん
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