筆者の語り

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筆者の語り

 これは五年か六年前の冬のことです。  筆者はその日、親戚のSさんの御父上が亡くなったと聞き、葬式に行くことになりました。  亡くなられたSさんの御父上は、優しくおっとりした性格であったと覚えております。娘であるSさんも同じような性格です。  葬式が終わり皆で食事をしていたとき、Sさんの娘であるYさんの様子がおかしいということに気づきました。  箸が進んでいない。体調が悪いのかと聞くと、そうでもない様子。どうやら偏食もちらしく、料理が口に合わない模様。  恰幅がよく好き嫌いなく何でも食べるSさんによく似ているように見えるYさんでしたが、どうやら食事方面は受け継がなかった模様。  嫌いなものがあるなら代わりに食べてあげようといえば、彼女はパッと顔を明るくしました。代わりに彼女の食べることができる料理をあげれば、筆者に色々な話を聞かせてくれました。ほとんどがおじいさま(Sさんの御父上)の話です。  しかし、一つだけ不思議な話がありました。  その一つをお聞かせいたしましょう。
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