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 というわけで、山頂に着くころには二十一時を過ぎかけていたのだが(チェックインは十五時~十六時で予約中)、旅館に到着すると、そこのおかみがゴロウやトモコやタカシやエツオのかつての同級生の祖母だということが判明し、さらにいうと、ゴロウの祖母の親友でもあるのだという。向こうは予約の段階で、ゴロウの名前を見た瞬間ぴんときていたらしい。遅れたことを四人できちんと謝った。翌朝の朝食は(四人は朝食付きプランを予約していた)、この旅館がインターネットサイトじゃらんに表示していたものよりもちょっと豪華な品々が出された。たぶん、おかみがサービスしてくれたのだ。  ちなみにエツオは元に戻ってからも、トモコを再びデートに誘うことはなかった。彼はトモコに対して、今までどおり、きわめて自然にふるまっていた。三人も、あれについてはとくに何も触れなかった。
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