ポンコツ魔法使い

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ベンチに座って僕は詳しく谷崎の話を聞いてみた。 話をまとめるとこうであった。 まず、先程僕に見せてくれた物を動かす魔法は、彼自身が持てる大きさや重さのもののみ可能である。またこれは自分からの距離が約半径三メートル以内のものを対象にしか使えない。放課後の先生が破片に気づかなかったのは、彼が魔法を使っていたかららしい。これも効力は約半径三メートル以内。自分の姿を隠すことにも使えるそうだ。ちなみにこの魔法は幻覚を見せていたのではなく、相手が意識して見ていなかったものの存在を極限まで薄める魔法らしい。だから意識して破片を見ていた僕は消えているように見えなかったそうだ。 そして全ての魔法に言えることだが、同時に二つ以上の魔法を使うことは出来ない。また、一度使ってから同じ魔法は三時間後からしか再び使えないそうだ。 要するに、あれだ。 「お前の魔法、ポンコツだな。」 「自分でもそう思ってるよ。」 意外にまともな返答が来たので、なんとも言えなくなってしまった。本人もそう思っているのなら自分はもう何も言うまい。だが、話を聞いてわかったことがある。 「…で、まさかあれか?朝僕を最初に助けたのも君ってことか?」 「えっよくわかったね。」 「自分の姿をあの不良から認識されてないうちに消して、距離が三メートル以内に行ったのち、その魔法を解除。ものを動かす魔法で何かを後頭部にぶつけた、と。けれどその前に使った魔法は再び使えないから、身を隠す前に不良に捕まり、今度は自分が絡まれたんだな。」 「そう!すごい、よくわかったね!」 「つまり、だ。」 僕はこめかみに青筋をうかべる。 「お前は無計画に僕を助けたが、今度は自分が捕まったため僕に助けてもらった上に迷惑をかけまくった、と?」 「いやっ本当に、申し訳なく思ってるって!」 「問答無用。」 谷崎の頭には大きなたんこぶが出来た。
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