お前のせいか!

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高校登校日初日のあの事件後、なんだかんだ谷崎と一緒にいることが増えた。というより、彼が僕に懐いた。そして僕は振り回される毎日を送ることになったのである。 ある日の帰り道、僕の隣を谷崎がまた変なことを言いながら歩いていた。どうもこいつは返事がないと何度でも同じ話をしたがるらしい。 「赤い猫を見たことがある?」 「あるわけないだろう。」 「そうでしょ。僕もないよ。」 なら何故聞いた。 「あぁ…でも赤い顔の人なら見たことあるよ。」 僕は思い出してほくそ笑む。 「え、何それ気持ち悪い。アバター的な?」 「ああ、一種のアバターだな、ありゃ。」 そう言ってケラケラと僕は笑って彼に言った。 「登校日の転んだ時のお前のことだよ、馬鹿。」 「あぁ…なるほど。」 納得するのかよ。 僕は時々彼にこう意地悪を言うのだが、離れていくどころか気にする素振りさえなかった。だが、僕自身ここまで素で話しても逃げていかない人は初めてだと感じてはいた。 彼と話したり関わったりしていく中で、彼が使える魔法を少しずつ知った。 僕はもう魔法の存在をしっかりと認めたのである。
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