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「なぁ、そういえばさ。」
「何?」
「君の魔法は誰かに直接かけたりは出来るの?」
「あぁ、出来るよ。」
僕が知った彼の使う魔法は全て、自分が人でない"もの"を対象に行うものばかりであった。
「それは魔法なのか?呪いとかの類いにならない?」
「そうなるといえばなるね。ものによるけども。」
「そうだな…例えば単純に人を幸せにしたり不幸にしたりとか出来るのか?」
彼の使える魔法を見てきた僕はあまり期待はしてないけど一応聞いてみる。
「出来るね。」
「えっ出来るの?」
前を向いて話していた僕は思わずぐるんと首を回して隣の彼を見た。
「すごく早かったね、首の回し方が。怖かったよ。」
「…うん、これは少し首を痛めたね。…そんなことより、それは本当なのか?」
「えぇと、やんわりと、だけどね。ほら、前に話さなかったっけ。何となく上手くいかないなぁ腹が立つなぁ…ってことが一日で最高十個起こる魔法をかけるぞって。」
「あぁ。」
そんなこともあったような。
「あれがそうなのか。」
「うん、と言っても本当にやんわりとしているからね。本人が気づかない程度だよ。」
「そうだろうなぁ。かけられても気づかれないことの方が多そうだし、嫌がらせにしては上質かもな。」
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