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宙をさまようような僕の手は、覗き込んだ谷崎の胸ぐらをがっしりと掴んだ。
「おっっっっまえかああああああ!!!!」
「え!?え!?何!?」
僕はあの日おかしいと思っていたのである。
高校登校日初日の前日、わざわざあのスーパーで買ったはずの伝説のお菓子はどこかで落としてくる。風呂を入れたと思ったら水で二度手間になる。朝は目覚まし時計は壊れるし、人に声をかけられ遅れそうになり、不良に絡まれて、遅刻で罰を受ける。
何より最大の失敗はこいつとの出会いだ!!
谷崎が魔法をかけた僕が同情した人は紛れもなく僕自身だったのである。
なんてことだ、冗談じゃない。
僕は取り敢えず数発谷崎を殴ると、長い溜め息をついて膝をガクッと折った。
「僕の高校生活…こんなつもりじゃなかった…くそう……」
彼との出会いは、この後も僕の生活に波乱を起こすのである。
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