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「やあ、まさか同じクラスだなんて!」
「話しかけないでくれないか?」
僕の席の目の前にあのヘタレ男が座っていた。あの後よく見たら同じ高校だった上に、同じ新入生だったのである。
「そんな釣れないこと言わないでよ。君と友達になりたいなって思ったんだけど…」
「朝助けてやったにも関わらず、そのあとも君に迷惑をかけられた僕は君と友達になりたくないと言っても納得できると思うのだが。」
僕たちは勿論高校生活初日から見事に遅刻。こってり教師から怒られただけでなく、罰として約四百字の反省文に、放課後のトイレ掃除まで押し付けられたのである。
「あぁええと、君の名前なんだっけ?」
「友達になりたい相手の名前もまさかとは思うが覚えていないのか?君の名前は谷崎摩央だったね、覚えているよ。」
「え!友達になりたいから?」
その言葉にニッコリと笑うと彼は目を輝かせるので、はっきりと言っておこう。
「関わりたくないから、だ。」
そう彼を突き放した瞬間、彼の表情が急変し流石の僕もビクリとする。
「…何だよ。」
「君そんなこと言うとね、一日の中で、あぁなんか上手くいかないなぁ腹が立つなぁ……って思うことが最高で十個起こる魔法をかけるぞ。」
「何だそれ。」
「そういう魔法だよ。」
得意げに笑う彼を僕は白い目で見る。その目線に気づいたのか、ムッとした顔をした。
「信じてないだろう?」
「そんなことを信じる馬鹿がどこにいる。大体何だ、その変に曖昧な効果があるのかないのかもわからない魔法は。」
「ストレスは与えられるでしょう?」
「それだけかよ。」
僕は彼の言葉を適当にあしらうと、彼に授業が始まると促して自分の席に座らせた。
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