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谷崎摩央、彼は変人だった。
罰の放課後のトイレ掃除で彼はこんなことを僕に笑顔で言ってのけた。
「ねえねえ、放課後のトイレ掃除なんだけど、僕便器やりたくないからやってくれないかな?」
こいつ、正気か。
僕はあんぐりと口を開け、彼を見つめた。すると彼は顔を伏せる。ふむ、流石に反省はしているのか。
「ちょっとそんなに見られたら、恥ずかしいよ……いっっっった!!何で殴るの!?」
「…気持ち悪かったから。」
僕は真顔でそう言うと、便器ブラシを手に持って彼に投げつけようとする。
「ちょっとちょっとちょっとやめてぇ。」
どこからその気持ち悪い声は出ているんだ、全く。
僕は黙って掃除を開始する。その姿を見て、彼もやっとデッキブラシを手に取り床を掃除し始めた。
「君はなんだかんだ優しいよね。」
「何処がだ。」
「結局便器掃除やってくれるじゃないか。」
「今からでも君にこの便器ブラシを投げつけて、押し付けてもいいけどどうする?」
「あははは、またまた冗談を。」
こいつは何を言っても無駄かもしれない。少し考えれば当たり前のことに今になって僕は気づいた。
彼については諦めよう、そう思った時のこと。
「バリンッ」
「「え?」」
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