尻だけ出して、ののしってください

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尻だけ出して、ののしってください

「それはとても暑い日でね」と男は言って話し始めた。 「私は小学校の四年生でした。その日は夏休みで、プール登校の日でした。学校は家のすぐ裏にあって三分で着くんです。友達からはうらやましがられましてねえ。ただあまりに近すぎると、それはそれで問題もあるんです。遅刻、よくするようになりまして。すぐに着くものだからぎりぎりまで寝るクセがついて。いまだに治らないんです。  その日もプールが始まる直前まで家にいたんです。まあ、マンガかテレビゲームでもしていたのでしょう。気がついたら開始時刻寸前になっていましてねえ。慌てて家を出てプールに向かったんですが、更衣室に入ると他の子たちはもう着替え終わっているんですよ。おせえなとか、また遅刻かよとか、みんなから言われて。殿様出勤だよとか、私も言い返して。     
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