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「……最後はこれで。うん、良いんじゃないか」
突然大きくなった声に驚いて横を向いた。
「えっ?!」
「ああっ!」
至近距離で目が合ってしまい、二人同時に仰け反った。背もたれがギギイと悲鳴を上げる。
「すっ、すまない。目が悪くて……」
「いっ、いえ。大丈夫です」
言い訳にも聞こえるけれど、きっと本当に目が悪いんだろう。
「……」
「…………」
居た堪れない沈黙の後、新條さんが口元にこぶしを近付け、ゴホンと咳払いをした。
「良く、出来ている」
「あ……あ、りがとうございます」
「これで展開するんだろう? OKだ」
腰を伸ばした高い位置でうんと頷く。
「ありがとうございます。では明日にでもアドバイザーとセールスに展開しますね」
私は笑顔を返した。すると新條さんも目を細める。
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