地下教室

私がまだ中学生の頃の話です。私は九州のとある中高一貫校に通っていました。
その学校は藩校に起源を持つ、かなり歴史のある学校で、県内でも有数の進学校でした。
学校は市街地から電車で約1時間、さらにバスで40分ほどかかる、山間の辺鄙な場所にあり、ほとんどの生徒は学校からほど近い寮に住んでいました。

何せ古い学校なので、その手の噂には事欠きませんでした。
学校の七不思議によくあるような、体育館の大鏡を深夜に覗き込むと鏡に取り込まれてしまうであるとか、
校庭にある創立者の胸像の表情が毎日微妙に変化しているとか、そういう話はいくらでもありました。
ただ、そういう単なる噂じゃなくて、本当に出ると言われていた話が１つあったんです。

それは、学校で一番古い校舎の地下教室に女子生徒の霊が出る、というものでした。
何のひねりもない話なのですが、これは本当に何人も「見た」という生徒が何人もいました。
その校舎は「特殊講義棟」といって、授業で使われることはほとんどなく、受験前の時期に自習室として開放されたり、文化祭の準備に使ったりする程度でした。
他の校舎は1階から3階までの3階建てだったのですが、なぜかその校舎だけ地下1階があり、光も入らず、黴臭くて、とにかく不気味な場所でした。