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「え、来たことあるんだ」
と亜矢たちが関心を示した。
「うん、旅行で」
「彼氏さんと?」
「ううん、ひとり」
「へえ。その時はどこに行ったの」
「えーと……国際通りとか、首里城の近くとか。時間がなくてあまり観れなかった」
犬を連れた人が渚を歩いていく。そういえば今日は月曜だけど、斎場御嶽はやってるのかな、と話題がそれた。
犬がサクサクと砂を掘り始める。
他の三人はヤドカリはかわいいか、気持ち悪いか議論を始めた。
適当に相槌をうちながら、私は断片的な記憶を甦らせる。米だけ残った皿を前に少しぼんやりとしたが、特にだれも気付かなかった。
食事の後は、その砂浜で貝を探して少し遊び、斎場御嶽へ向かおうという話になった。
斎場御嶽の駐車場は高台にあり、土産物屋の裏手に出ると島の東側が見下ろせる。見晴らしがいいからか、両側に階段のついた台があり、『しあわせの架け橋』と書かれていた。
代わる代わる、その橋というより滑る場所のない滑り台のようなものに上り、写真を撮った。
「遠山さんが一番幸せそう」
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