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展望台のように低い木製の柵が設けられていた。柵のぎりぎりそばまで行くと、さまざななグリーンで埋まった斜面の先に、ごつごつと黄緑色をしたサンゴ礁の浜辺、そしてその先に水平線の弧が180度以上に渡り、ぐうーんと伸びている。
しかも、青空との境界線がほのかに白く霞んで輝き、その下は真っ青なブルーなのだった。
「すごーい!」
その景色が現れた途端に思わず口を押さえ、隣に立っていた月斗の肩をバシバシと叩いた。
「きれいだねえ! 夢みたい」
と桃がカメラを構えた。
「夢だよ。これは、夢。だって沖縄にこうして4人、揃っているんだから」
月斗は両腕を広げて風を浴び、あー!と意味もなく叫んだ。
各々が写真を撮る間も、風は容赦なく吹いた。ゴウゴウ、と吹く透明な風の間に、私は自分の身体がほどけてリボンになるのを感じた。リボンはくるくると亜矢に巻き付き、亜矢の身体からも沢山のリボンが翻っている。気が付くと、月斗も桃も、色とりどりのリボンで出来たミイラみたいに見えた。ひらひらと美しくリボンは舞い、私の頬を撫で鼻先をくすぐっている。
この島の神様も、そんな風に私たちを見ているだろうか?
リボンは時につながり、時に絡み合う。
千切れ、細切れにくだかれ、また紡がれる。
「あの道、半分までがニライ橋で、残り半分がカナイ橋なんだって」
「なんだ。二つあるんじゃないんだ」
私たちより先に帰ろうとした観光客がそう話しながら通り過ぎた。
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