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ニライ橋・カナイ橋
ダウンを着てこなくてよかった。那覇空港に接続されたタラップの先に、洋蘭のプランターが並んでいるのを見て、思わずコートを脱ぐ。
旧友の三人――亜矢、桃、それに月斗は前日から国際通りのホテルに宿泊している。今頃朝食を済ませ、私の到着を待っているはずだった。
<着いたよ>
スマホの中、頬がピンクの絵文字をタップすると、英語でわざわざ”laugh”と表示される。
当の私は笑っている余裕はない。コートのベルトとショルダーバッグが、引き延ばしたスーツケースの持ち手部分に絡まり、悪戦苦闘する。
出発ゲートそばの椅子になんとか腰を落ち着け、あたりを見回す。1月なのにみんなパーカーにTシャツ、スニーカーという軽装だ。
タートルニットの首もとをひっぱり、身体にこもった熱を放とうとした。手持ちの冬服で、カシミヤニットはこれだけだ。久しぶりに会う同級生に対する少々の見栄もあって選んだが、ここでは暑すぎる。
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