あまにがい一杯

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あまにがい一杯

「バレンタインの季節。チョコって、いいよねぇ~」 「はいはい、まーた出たよ」 女の子同士のお茶会。議題はいかにもな甘いあまいモノから始まって。 「好きって気持ちが一つ一つぎゅーって詰まってるって、素敵だよねぇ....はぁ、女の子だけど、みんながくれたチョコにうもれたい....」 「ふふ、ばーか」 「あーっ!ひどぉい!いいもん!夢見すぎだってわたしもわかってるし!」 なのに私の胸の中はちょっぴり苦い。 「ごめんって。拗ねないでよ。はい、これ」 「?なあにこれ?....あっ!チョコだー!」 「どうぞ召し上がれ」 「わあい!いっただきまー....んぐっ!?」 「あっははは!ひっかかった!ソレ、チョコに見えるけど実は羊羹なんだよね。口にいれたらびっくり、でしょ」 「もぉー!ばかばかばかぁ!」 「そんなかわいーいパンチじゃ効きませんーっ♪」 「むぅーっ!」 「よし、よし。ほーんとアンタってからかい甲斐があるわ。百点満点」 「それって絶対誉めてないよねぇ!?」 ....ほんと、かわいい子。 あんたが埋もれたいって言うチョコが、ぜーーんぶ私からのチョコで。 他の人が入る隙間なんか一ミリもないくらいにいっぱいいっぱいにして。 幸せいっぱいに埋もれさせてあげられたらいいのにな。 なんて思ってる事は隠して 私はこの子の頭を撫でるんだ
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