真面目過ぎる私が結婚したいので<前編>

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 くそう。と私は思った。その合コンが行われた恵比寿からの帰り道。くそう。と苦虫をかみつぶしながら山手線に乗った。くそう。くそう。気を抜くと不覚にも涙が流れてきそうになった。なんで私が泣かなければならないのか。くそう。でもくそうと思うばかりで、気持ちの切り替えができなかった。屈辱だった。どう考えても屈辱だった。どこをどう取っても。屈辱のシーンしか浮かんでこない。屈辱しか思い出せない。気持ちの切り替えなんかできない。ポジティブになんかなれない。何もかも嫌になった。これから私は自分のアパートへ帰る。そして何事も無かったかのように明日の日曜日を過ごし、そしてまた次の日が来て、私は新橋にある私の会社に出勤しようとするだろう。いつもみたいに。14年間続けてきた、いつもの月曜日の朝みたいに。ああ。嫌だ。嫌。だって何のために朝を迎えるのかわからない。何のために明日の朝目覚めるのかわからない。私は何故、何のために明日を生きるというのか。
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