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絶望、という二文字が頭に浮かんできた。涙と鼻水が溢れてきた。無様だった。私は秋葉原の山手線のホームで立ち尽くしていた。さっきから雨が降ってきていて、ホームは雑踏が運んだ雨水で濡れて光っていた。くそう。電車が出て行き、人の群れが一通り過ぎていった。くそう。くそう。私は這いつくばる決心をして、ワンピースの膝を濡れたアスファルトの上についた。ベージュのワンピースが汚れるだろう。それがどうした。ド近眼の私は目の先20cmまでしか見えないんだ。こうするしかないじゃないか。こうして地ベタに這いつくばって落としたコンタクトレンズを探して、それを目玉に嵌め直して視力を回復させる以外に、私が自宅まで帰り着く手立てはない。
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