真面目過ぎる私が結婚したいので<前編>

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 それはお付き合いをする男性にとってもそうだ。私にだってお付き合いした男性はいた。二十代の頃だ。遠い昔。笑。最初彼はにこにこ笑って大丈夫だって言ってくれたんだ。久美子ちゃん大丈夫だよ。僕があなたを笑わせてあげるから。心配しないで。大好きだよ、って。   だから私は安心してお付き合いした。それで数か月が過ぎた。何の問題もない。そう思っていた。彼が無口になったことを除いては。  久々のデートで映画を観た帰り、送ってくれた車の中で私は聞いてみた。ねえ、どうして最近無口なの、と。そしたら彼が言った。自分でもよくわからない。なんか重いんだ。久美子さんといると。重いかんじがして、次の言葉が浮かんでこないんだ。僕は無口な方じゃないんだけど。こんなの初めてだ。  次のデートの誘いは来なかった。よく自然消滅なんて言うけど、まさか自分の恋愛がそうなるとは思っていなかった。でも彼からの連絡は、待てど暮らせど来なかった。こういうのを自然消滅っていうんだ、と私は思った。そう思うまでに数か月かかった。彼とお付き合いした期間よりも、長い月日が経っていた。
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