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私の家へと続く梅島駅からの道は、さっきまでの雨に濡れて光っていた。冷んやりとした空気が私を包む。私は小道が真っ直ぐに続いていることと前から人が来ないことを確かめると、目を瞑ってみた。歩きながら。
右手首の感触。
彼の左手。
はっきりと蘇ってくる。
それが嬉しかった。
左手の感触。
ジュンペイさんの左手。
それを確かめて、私は目を開いた。
雨上がりの小道。
ステップがしたくなった。
できないので仕方なく、身体を揺らした。
よかった。
よい一日だった。
満足だ。
<次章へ続く>
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