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腑に落ちた。
何か腑に落ちるものがあった。
私の中で。
落ち着いた。
私は落ち着いた。
純平さんをネットで発見してから。
純平さんはそこにいた。
純平さんは生きていた。
当たり前だけど。
純平さんは生きて、そこにいて、そこで暮らしていた。
一人の人間として。
純平さんは生きていた。
当たり前だ。
それを発見する前、ネットで純平さんを見つける前は、ジュンペイさんはここにいる人だった。
ジュンペイさんは私の右手首と左手でつながっていて、ここにいる人だった。
確かにジュンペイさんはここにいた。
私のこの右手首の先に。
しっかりつながっていた。
私と。
でも今。
なんか、もう、ここにいない。
純平さんはここにいない。
ここにいる人ではなくなった。
純平さんは生きている。
生きて、暮らしている。
国分寺で、絵を描いて、二十二歳で。
生きて、暮らしている。
自分の人生を生きている。
二十二歳の人生を生きている。
なんというか、それは残念とか、そういうことではなかった。
なんというかそれは、言ってみれば、当たり前のことだった。
当たり前のこととして、私はそれを受け入れた。
受け入れるしかなかった。
でもそれは自然だ。
自然なことだ。
そうだったのだ。
最初からそうだったのだ。
純平さんは帰って行った。
国分寺に帰って行った。
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