真面目過ぎる私が結婚したいので<前編>

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 何が悪いのか。私の、一体、何が悪いというのか。そうか。真面目過ぎる所か。なるほど。確かにそうだ。私はそこを直さなければならないのだろう。私は私の悪い所を改善するのだ。私は私の真面目過ぎる所を直す。決めた。それは決定。と、それはいいとして。私は私の真面目過ぎる所を、どうやって改善したらいいのだろう?  その夜は残業も無かったので、早い時間に足立区梅島のアパートの小さなワンルームに帰宅した私は、部屋着に着替えるのもそこそこに、机の上のパソコンを起動させた。私は調べなくてはならない。私の改善方法を。検索サイトを立ち上げる。検索ワードを入れる。「真面目」「改善」「セミナー」。一杯出てきた。世の中にはごまんとセミナーやらイーラーニングやらがあった。それこそごまんと。けれども、真面目過ぎるのを改善するセミナーというのは見つからない。何かを真面目に改善するものばかりだ。こんなにごまんとセミナーがあるのに、と私は思った。私が求めているセミナーは一つも無い。真面目に改善するというのでは、百八十度方向が逆ではないか。ううむ。  そこで私は考えてみた。なるほど。セミナーというのは、真面目に取り組みたい人のためにあるのだ。真面目にスキルを得たい人がセミナーを受ける。スキル取得と引き換えに授業料を払う。そのようにしてセミナーのビジネスモデルはできあがっている。なるほど。
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