Get Wild <中編>

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 私はそのままバスルームから出ると後ろ手で扉を閉め、右足を引き摺って玄関先に設置された洗濯機に辿り着き、つまんできたものを入れてスイッチを押した。  ガー。  洗濯機が唸り声を上げた。  ふう。  そこで私は私自身がまだ濡れた状態で、つまりまだ帰宅したままの通勤着で雨に濡れたままの状態であることに気付く。  着替えなくちゃ。  幸いにも純平さんはまだお風呂から出る気配はない。私はクローゼットまで行って部屋着に着替えた。ポムポムプリンの描いてある黄色いジャージ。私の部屋着。ラブリーな私の部屋着。  ふう。  さて。  どうしよう。  これからどうしよう。  夕飯。  夕飯は。  私は帰りがけにスーパーに寄ってこなかったことを後悔した。  激しく後悔した。  後悔役立たずとはこのことだ。  冷蔵庫に何があるか。私は昨日までの私によって冷蔵庫の中に残されている筈の食材の可能性に祈りを込めて、冷蔵庫の扉を開けてみた。そこには無造作に鳥の胸肉が半パック残されていた。ふむ。これはこの間唐揚げにし損ねたやつだな。あとそれから。扉側のポケットを見ると生卵が四つ。ふむ。振り返ると野菜置き場に玉葱一個。ふむふむ。これは。来ました。浮かんで来ました。私の頭の中に。ホカホカの炊き立てご飯の上にフワフワの卵と鶏肉と玉葱が載ったやつがふんわりと湯気を立てている。いける。親子丼だ。私は神に感謝した。私の祈りは通じた。神は私を見放さなかった。  すぐさま私は無洗米を炊飯器に放り込んだ。三合。いや待てよ、純平さん若いからな。もっと食べるかもな。四合行っとくか。  私は更に野菜置き場にじゃが芋を一個発見し、これでお味噌汁を作ることにした。鍋にお湯を沸かす。
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