Get Wild <中編>

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 駄目だ。  駄目だった。  私は解決方法を持っていない。残念ながら、私の中にはこういう場合どうしたらいいのか、参照できる事例も参考にできる引き出しも無い。私にとって初めての体験だった。男の人が泣いている。目の前で泣いている。こらえようとしてるんだ。でもこらえきれないんだ。こらえきれない涙が純平さんの頬を伝っている。次々と流れている。涙が服を濡らしている。オーバーオールを濡らしている。  これは嬉し泣きではない。  それはわかる。  悲しいのか。  悔しいのか。  何かあったのか。  思い出しているのか。  わからない。  想像できない。  私は自分の不甲斐なさを呪った。  私は無力だ。  まるで無力。  目の前で泣いている人に対して、私はまるで無力だ。  私はティッシュの箱を取ってきて、目の前で泣いている若人にそれを手渡した。  私にできることはそれしかなかった。  純平さんは鼻をかんだ。  でも嗚咽は収まらない。  泣く。  まだ泣く。  仕方なかった。  仕方なく、私は空いた食器を重ねて盆に載せて、流しへ持っていくことにした。  でもまだ泣いている。  純平さんが泣いている。  鼻をかんで、また泣いている。 <んで、つづきます>
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