真面目過ぎる私が結婚したいので<前編>

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 合コンは一月半後に行われた。  私はその合コンに臨むにあたって、勢いをつける必要があった。自分自身に勢いを付ける。気後れしないように。今までの自分とは違う自分なんだと思えるように。  まず私は、決行日の一週間前に美容院へ行った。私の髪はショートカットだ。あれは二十代の頃だった。髪を短く切ってみたら殊の外手がかからず、これまで日々頭髪のためにかけていた時間が激減した。(私自身の名誉のためにここに書き記しておくが、それは決して彼氏に振られたからという、そんなベタな動機などではない)。それ以来私はショートカットだ。襟足も眉毛も全部見える。この髪形を変えようかとも一瞬考えた。しかし急には変えられない。だからパーマをかけることにした。私の直毛にウェーブがかかった。もしかして私ちょっとおばさん化した?とも思ったが、悪くはなかった。そう。この髪形。悪くない。  髪型が少し変わった。まだだ。まだ足りない。もっと勢いが必要だ。合コンという未知の領域にチャレンジするための勢い。変えること。自分を変えること。それで私が考え付いたのは、コンタクトレンズ作戦だ。私は私自身を変える。コンタクトレンズで変える。
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