真面目過ぎる私が結婚したいので<前編>

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 小さい頃から勉強の虫だった私は机にかじりついていたのが祟って、小学生の頃から近眼で眼鏡っ子だった。眼鏡は幾つも買い替えた。もう数えることができないくらい。今も三つ持っている。通勤用の眼鏡、会社用の眼鏡、そして自宅用の眼鏡だ。それぞれ微妙にデザインが違う。その三つの眼鏡の中で、一番のお気に入りを通勤用にしている。だって、通勤途上でどんな出会いがあるかわからないではないか。だから私は、通勤する時に一番のお気に入りの眼鏡をかける。縁が丸くて、少し大きい。後の二つもそこそこ気に入っている。縁が細くて、眼鏡の存在感が薄いやつだ。私はこの年まで眼鏡を外したことがなかった。それこそお風呂に入る時くらいしか。だから私自身、眼鏡がない状態の私に慣れていなかった。コンタクトレンズ屋さんに行ってコンタクトレンズを付けて、鏡を見た。そこには眼鏡のない私がいた。新鮮だった。眼鏡のない私の目は、少し大き目に感じた。眼鏡がない顔に慣れていないので、なんだか物足りない顔のようにも思えた。
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